[vol. 006] Michelle Joyce
インタビュー第6弾は、トップ・ベリーダンサーとして北カリフォルニアを中心に幅広く活躍中のベリーダンサーMichelle Joyce(ミッシェル・ジョイス)です。
近年、数々のコンペティションで優勝を飾るなど、イスタンブールで習った彼女のベリーダンス基礎力とパフォーマンス力には信憑性があり、また、アラブ諸国やエジプトなど世界各国にゲスト・ダンサーとして招かれる実力者でもあります。彼女の才能は、ベリーダンサーとしてだけでなく、ベリーダンスDVDプロデューサーやデザイナーとしても活躍するなど、ベリーダンス・コミュニティーには欠かせない存在となりつつある期待の星です。
======================================

NAME -- Michelle Joyce
AS A TEACHER -- Currently not Teaching
LOCATION -- North California
STYLE -- American Cabaret
======================================
- アメリカン・キャバレーを自分のベリーダンス・スタイルとして選んだのは何故ですか?
実は、ベリーダンスを習い始めた当初は、トライバルを習っていたんですが、その後、1年半程滞在したイスタンブールの影響でキャバレー・スタイルに変更しました。その当時は特に、中東諸国ではトライバルというスタイルがベリーダンスとして認められてなく、ベリーダンスといえば、やはりキャバレー・スタイルという暗黙の了解があったので。イスタンブールでキャバレー・スタイルを習い始めてからは、その表現方法の広さや自由度の高さを実感し、プロフェッショナルとしてベリーダンスを極めるのであれば、キャバレー・スタイルが自分には合っていると思ったからです。
- イスタンブールがMichelleのベリーダンスの原点となっているようですが、イスタンブールに行こうと思ったきっかけは?
特に「イスタンブールに行こう!」と思って行った訳ではなく、たまたま滞在することになったんです。当時、友人と一緒に購入した世界旅行航空券(規定のマイレージ分だけ世界各国好きな場所に飛ぶ渡ることが出来る航空券。自国を出発してから帰国するまでの間のみ有効。)でタイやインドなど、世界各国を旅行していたのですが、その際、イスタンブールに立ち寄ることになり、訪れたのがきっかけです。その後、友人はすぐに他の国へ旅立ってしまったのですが、 私はイスタンブールで日中は英語の教師として、夜はベリーダンサーとして働くこととなり、1年半ほど滞在することとなりました。実は、主人と出会ったのもイスタンブールなんです。
- では、イスタンブールは、現在のご主人と出逢った思い出の国なのですね(笑)。
そうですね(笑)。
- パーソナル・トレーナーの資格を持ち、また、体操競技や乗馬、ジャズやその他のダンスに取り組むなど、幼少の頃から数多くのスポーツに携わってきていますが、その過程の中で、ベリーダンスを習おうと思ったのは何故ですか?また、プロのベリーダンサーになろうと決めたきっかけもあれば教えてください。
ベリーダンスは、たまたま近所に住む友達が習っていて、彼女が自宅で「ベリーダンスってこんなダンスだよ」と教えてくれたのが、私とベリーダンスの出合いのきっかけです。 彼女がベリーダンスにとても夢中だったこともあり、一緒にベリーダンスのクラスに連れて行かれたり、Rakkasah(ラッカーサ)のイベントに連れて行かれたりして・・・(苦笑)。ベリーダンスに触れ合う機会が増え、コミュニティー内で新しく友達が出来始めるなど、少しずつ私の中でもベリーダンスに対する興味が増えていったんです。
プロとして活動を行うようになったのも、自然の流れです。イスタンブールからアメリカに帰国後すぐに、近くのレストランでハウス・ダンサーとしての仕事をもらい、プロのベリーダンサーとしての活動を始めました。とは言え、恥ずかしい話ですが、その当時の私は、「プロとしてやっていくぞ」という思いがあったというより、「趣味でやりつつ仕事も入る」という、どちらかというと中途半端な状態でした。だから、その当時の自分のパフォーマンスは、今思うと、プロとはとても言えないものだったと思います。10年以上、プロのベリーダンサーとして活動していますが、そういった意味では、本当にプロとして自分のテクニックを磨いたり、トレーニングに力を注ぎ始めたのは、ここ5年程です。
- 今まで行ってきた数多くのスポーツの経験がベリーダンスに役立っていると思うことはありますか?
体操競技や乗馬など、コンペティションが当たり前のスポーツを小さい頃から行ってきたので、人前にたつ際の緊張感やあの独特の雰囲気には比較的慣れている方だと思います。また、他にもダンスを習っていたことで、自分の身体に対する認識力 ~ 例えば、動きの飲み込みが早いとか、各神経や筋肉の使い方を自然に身体がわかっているといった点~ が基礎として出来上がっていたので、ベリーダンスにも役立っていると思います。
- 過去にオーストラリアに1年、日本に4ヶ月滞在しパフォーマンスを行った経験がありますが、その当時のことを教えて下さい。
オーストラリアは、主人の故郷でもあるので、結婚前でしたが一緒に1年ほど滞在していました。その間も、オーストラリアでベリーダンスを習いつつ、レストランなどでパフォーマンスを続けてました。その後訪れた日本では、4ヶ月という期限付きで、大阪にあるナイトクラブでベリーダンサーとしてパフォーマンスを行いました。
- それ以降、日本を訪れたことは?
残念ながらありません。でも、観光客として日本を訪れたのではなく、実際に数ヶ月働きながら生活をしたという点において、日本のさまざまな部分をみることが出来たし、楽しい思い出でいっぱいです。
- 昨年『Cheeky Girls Productions』というプロダクション会社を設立し、“By Dancers For Dancers”というベリーダンスDVDシリーズのプロデュースを手掛けていますが、 その動機は?
コンペティションで優勝出来るようにと、自分自身のスキルアップ向上に力を注いだり、その後、製作会社でのDVD製作の話を持ち込んだりと、何年間にも渡って、プロのベリーダンサーとしての自分の認知度を上げる努力をしてきましたが、 ”誰かに取り上げられる”のを待っているのに、少々うんざりしてしまった・・・というのが、正直なところです(苦笑)。Bellydance Superstarsのオーディションにも受かりましたが、やはり、世界各国を飛び回りパフォーマンスをするという過酷なスケジュールと自分のライフ・スケジュールとのバランスが見合わず、参加を断念したり・・・とかね。
ちょうど主人がTVのプロデューサーという仕事をしていることも手伝って、 知り合いにカメラマンもいるし、製作のプロセスに詳しい人もいるし・・・ということで、「じゃあ、自分で製作してみよう!」と思ったの。正直、最初にとった“By Dancers For Dancers”のDVD収録では、ほんとうに沢山のことを学んだわ。その後、自分でカメラなどの機器を購入して揃えたり、スタジオを準備したり・・・と着々と準備を進め、今では、自分のインストラクションDVDや、その他べりダンサーのDVDを収録するなど、積極的にビジネスを展開できるまでとなりました。
「ほかの競合会社とは一味違う製作会社にしたい」と、そう強く思っているの。出来るだけ手ごろな値段で提供できるように心がけているし、収録するDVDも他とはちょっと違う、心のこもったものにしたいというか・・・。例えば、"By Dancers For Dancers"のDVDでは、世界的にも有名なベリーダンサーが出演しているのと同時に、未だ知られていないけれど素晴らしいベリーダンサー達も出演しているでしょう。それは、やっぱり、「無名だけど、技術もパフォーマンス力も優れているベリーダンサーを知ってもらいたい」という思いからきているんです。
- 企画、カメラ収録からプロデュースまで手掛けるのは大変だと思いますが、成功させる秘訣は?
何事も試してみて、失敗から学ぶことかしら(苦笑)。一番最初の収録こそ、主人や彼の知り合いが手伝ってくれたけれど、その後は全て自分で行う必要があったので、本を買って学んだり、知り合いのカメラマンにコツを訊いたりしながら、一つ一つ試しているといった具合。ウェブサイトについても、自分のサイトを作りたいと思いいろいろ学習した結果、今となっては、他のダンサーやその他の企業のウェブサイトデザインを手懸けるまでとなったし(笑)。
- ベリーダンサーとしてだけでなく、ビジネス・ウーマンとして幅広く活躍されてるんですね。そんなMichelleの日々のスケジュールを教えてください。
午前中は、主にメールのチェックとAmazonでのDVDの評価確認やDVDの受注作業に充てています。たまに、レビューを見て悲しくなったり、いらいらしたり、朝から感情的になってしまう日もありますが(苦笑)。その後は、ジムにいってエアロビクスをしたりと、ワークアウトをし、帰宅してランチを食べます。新しくTVで放映されている『Star Trek』を見ながらね(笑)。私、新しいStar Trekの大ファンなの♪
午後は、日によって、その日に片付けなければならない仕事をします。例えば、ウェブサイトのデザインとか、DVDのパッケージデザインとか、ベリーダンスの練習やワークショップの準備とか、いろいろです。週末は、ワークショップを開催したり、レストランやイベントでパフォーマンスしたりしています。
- カウンセリングの修士号を取得していますが、そのスキルを利用して、他のベリーダンサーの”舞台恐怖症”を克服できるよう支援していると聞きました。克服するための、アドバイスやコツを教えてください。
この件に関しては、たくさんアドバイスがあるわ。まず、「間違える練習をすること」はとても重要。例えば、ベールを使うパフォーマンスを練習しているときに、意図的に突然ベールを落としてみて、どう自分が対応するかを練習してみたり。そういった突然の事故が起こった際は、どうしても表情に出てしまいがちなので、あくまでも自然に間違いを修復できるようにトレーニングするの。あとは、「女優になること」。自宅で、鏡に向かって、どのように自分を演出するかの練習をすることは、自分の表情をコントロールできるようになる一番の近道だと思います。普段の練習中の表情が、実際のパフォーマンス時の表情になるんですよ。
他には、「ステージに上がる前に必ずウォームアップをすること」。身体を温めて置くことで、舞台の上でもいつも通りのスムーズな動きができるようになるし、足や手が震えていても、呼吸を整えたり、自分自身の身体を信じてポジティブに考えることで、随分とパフォーマンスに差がでると思います。 どうしようと不安に思いながら舞台に立つと、やはり不安な表情になったり、身体全体の動きが小さくなってしまうので。最後に、「イメージ・トレーニングをすること」。自分の理想のイメージを何度も頭のなかで反芻してみることもとっても重要です。最終的には、やっぱり「経験」がものを言います。何度も人前でパフォーマンスする経験を積むことも、とても大切です。
- ベリーダンサーとして重要なことは何だと思いますか?
難しい質問だわ・・・。どれか一つを上げるとしたら、「人と仲良くできること」かしら。どんなに素晴らしいパフォーマンスが出来ても、見に来てくれているお客様に対して、きちんと親身に接することができなければ、それはベリーダンサーとしては良くないと思うし。顧客から出演依頼が来たときに、きちんと対応できるスキルも必要だと思います。他には、やはり「練習」あるのみですね。
- では最後に、ベリーダンスを習うみんなに一言お願いします。
趣味でベリーダンスを続けている人、セミプロとして続けている人、プロとして活躍している人、またはプロを目指している人。様々な目標を持った人たちがいると思いますが、『練習し続けること』を忘れないでもらいたいです。残念なことに、中には同じことを続けているプロのベリーダンサーも多くいるのが事実です。「自分は極めた」と思ってしまう部分もあるし、その時の自分のレベルに満足してしまうケースもあると思います。でも、ダンスには、「ここが頂点」ということは無いと思います。上達したと思ったら、更に上を目指して、挑戦し続けること。常に向上心を持ち続けること。その心がけが大切だと思います。練習し続けることは、決して楽しいことではないけれど、継続こそ力なりというのは本当だと思います。
あとは、様々なベリーダンサーのワークショップやレッスンを受けて欲しいです。中には、他のダンサーに習うことを嫌う先生もいるかもしれませんが、出来るだけ沢山の人からいろいろなスタイルやスキルを学ぶことは、最終的に、自分のスタイルを発見する術でもあり、また、継続して上達するきっかけでもあるので。なので、たくさんのダンサーを見て、学んで、ベリーダンスを楽しんでください。
インタビュー後記![]()
1時間30分に及び、コーヒーを飲みながらインタビューに応えてくれたMichelle Joyce。 とてもエネルギッシュで笑顔たっぷりの彼女とのインタビューは、笑いがありつつも、彼女のベリーダンスに賭ける真摯な思いがひしひしと感じられるものとなりました。
実は、私がMichelleを知ったのは、まだ日本にいる頃。インターネットで検索して偶然発見した彼女のホームページ上に掲載されているパフォーマンスビデオを見て以来、そのスキルの凄さとパフォーマンス力に一気に魅了されてしましました。アメリカに来たら、ぜひMichelleの生徒になりたい!そう思ったものの、彼女は今、クラスを教えていない為、仕方なく他を当たろう・・・と思ったところに、彼女のダンスパートナーであるSandraの存在を知ったのです。言わば、私とSandraの出逢いを作ってくれた彼女(笑)SandraとMichelle Joyceは、以来、私のなかで北カリフォルニアのトップ・ダンサーとしてお気に入りのダンサーです。
「無名だけど、素敵なダンサーがたくさんいることを知って欲しい。」そう語る彼女に、強く共感した私。私も同じ思いをもって、このサイトを立ち上げたから・・・。ダンサーとしてだけでなく、DVD製作やウェブデザインなど、幅広い分野においてベリーダンスに関わっている彼女のバイタリティには感服です。今後ますます、ベリーダンス・コミュニティーには欠かせない存在となること、間違いなしのベリーダンサーMichelle Joyceでした。
インタビュー収録:March 2008